司法書士法人つばさ事務所

TSUBASA SHIHOU-SYOSHI  LAWYER

 
コラム

事業承継(遺言の重要性2) 2010/11/01

 

事業承継(遺言の重要性2)

質問

 前回、遺言の説明の中で「遺留分」についてのお話がありました。その内容についてもう少し詳しく教えてください。

回答

 遺言を残す際には、遺留分について検討しなければなりません。残された人がもめないようにと書いた遺言が原因で余計もめることになったら、何のために遺言を残したのかわからないということになってしまいます。それをなるべく防ぐために遺留分について考えることが必要です。

 遺留分とは、(法定)相続人に残さなくてはならない相続分の割合のことです。例えば、夫が遺言を残す場合に妻と3人の子どもがいるとします。この場合、遺留分は法定相続分の2分の1となります。つまり、法定相続分は、妻2分の1、子どもたち全員で残りの2分の1が均等となるので子ども一人につき6分の1となります。したがって、妻の遺留分は、法定相続分2分の1×2分の1=4分の1、それぞれの子どもの遺留分は、法定相続分は6分の1×2分の1=12分の1となります。夫は、事業の後継ぎである長男に会社の株式や自社ビルなどの事業用財産を相続させたいと考えています。夫の所有する財産(遺産)の大半が事業用財産であった場合には、事業用財産の全てを長男に相続させるという遺言を書けば、妻や長男以外の子どもの遺留分を侵害してしまいます。注意しなければならないのは、このような遺留分を侵害する遺言も有効なのです。だたし、夫が亡くなり、長男以外がこの遺言の内容を知った時から1年以内に遺留分の請求(遺留分減殺請求)を長男に対して行えば、長男は遺留分相当額を渡さなければなりません。この請求は各自がそれぞれすることができます。1年経過すると請求できません。

 このように遺留分減殺請求がなされることが法的にも現実的にも可能性が高いときには、その対策の必要性はより増します。普段から兄弟仲が悪いとか、相続分を主張する言動があるときなどです。対策としては、他の相続人に生前贈与で既に渡していた場合にはそれを明確にしておく、遺言中にこの遺言を書いた理由を説明する、生命保険を活用する、事業用財産をほかの相続人に残すなどが考えられます。

会津嶺