司法書士法人つばさ事務所

TSUBASA SHIHOU-SYOSHI  LAWYER

 
コラム

事業承継(遺言の重要性) 2010/10/01

 

事業承継(遺言の重要性)

質問

 有限会社で小売業を営んでおります。遺言を残したいと考えています。事業者として残す遺言について注意点がありましたらアドバイスをお願いします。

 

回答

 今回は、「事業者にとっての」遺言についてお話ししたいと思います。確認になりますが、「遺言」とは、自分の死に備えて自分の気持ち、考えや財産の分配、ご先祖の供養などについて記しておくものです。ここでは、そのうち法律的に効力のあるものを遺言として取り扱います。広い意味での遺言には、ビデオなどの映像やCDなどの音声による意思の伝達も含まれると思います。遺言における最も重要な機能である「メッセージを残す」ことに適っているからです。しかし、これらの方法では、法的にはそれによって財産を分配させる効力はありません。そこで、法的に効力のある文書による伝達の注意点を述べることとします。

 事業者にとって最も注意しなければならないことは、「事業の継続」であると思います。事業者(経営者)の死によって事業が混乱し停滞して、仕事やお金の流れが止まってしまわないようにするための対策が必要でしょう。そのための方法のひとつが遺言の作成です。自分のあとを誰に経営を託すのか(後継者を決める)、そしてその後継者に事業用の財産をどのように集中させるのかを遺言に残します。加えてその後継者が名実ともに経営者となることができるように環境の設定や教育が必要となります。これらは、遺言以外の対策です。

 また、後継者以外の法定相続人(相続の権利を持つ人)への配慮も欠かせません。法定相続人には「遺留分」という権利があり、遺言によっても一定割合の相続の権利を奪うことはできません。仮に、後継者に偏り過ぎた遺言を残すと、後継者とそれ以外の相続人の間で遺留分を巡ってトラブルになる可能性があります。

 遺言を残すことによって仕事やお金の流れの停滞をある程度防ぐことができます。そして、相続人が納得できるバランスの取れた内容の遺言を残して事業の継続を確保することが重要であると思います。