司法書士法人つばさ事務所

TSUBASA SHIHOU-SYOSHI  LAWYER

 
コラム

事業承継(経営承継法) 2010/9/01

 

事業承継(経営承継法)

質問

 中小企業の事業承継のための法律ができたとききました。その内容を教えてください。

回答

 平成20年10月1日より「経営承継法」が施行されました。これは、中小企業の相続に関わる事業承継について、金融・税金・相続制度の面から支援するための法律です。以下にその概略を説明します。

 そもそも中小企業においては、オーナー社長の相続問題は時には会社の存亡に関わる問題になることもあります。これはその会社にとっての問題だけではなく、社会的にも大きな損失となります。そこで、事業承継を円滑にすすめるための法律が制定されました。大きく分けて3つの内容にわかれます。

 まず、①「遺留分に関する民法の特例」です。通常、人が死亡して相続が開始するとその相続人が相続の権利を得ます。オーナーが生前に遺言を残すことによって財産の指定ができますが、相続人の「遺留分」を侵害することはできません。遺留分とは、相続人が最低限確保できる権利です。すると、オーナーが後継者に遺言や生前贈与によって自社株を全部残そうと考えても、後継者以外の相続人が遺留分を主張すれば後継者が自社株を独占できない場合が出てきます。これは後継者の会社運営上支障をきたすおそれがあります。そこで、

あらかじめ相続人全員の合意によって自社株を遺留分算定から除外する制度(民法の特例)ができました。

 次に、②「金融支援措置」です。例えば、相続によって分散した株式を買い取るため、事業用資産を買い取るため、相続税の納税資金を確保するためなど、事業承継に支障がある場合に政府が金融支援する制度ができました。具体的には、信用保証協会の保証限度額の枠拡大や政府系金融機関からの融資がこれにあたります。

 最後に、③「相続税の納税猶予制度」です。後継者がオーナーから相続した自社株の80パーセントの相続税を納税猶予する制度です。

 いずれの制度も、経済産業大臣の認定や確認、家庭裁判所の許可などの条件を満たすことが必要です。