質問
息子に事業を継がせようと考えています。前回、資産の承継について触れていましたが、考え方をさらに詳しく教えてください。
回答
事業承継のうち資産の承継については、①後継者への資産の集中と②後継者以外の親族への配慮が課題となります。
まず、①後継者への資産の集中についてお話しします。事業に必要な財産であなた個人名義の財産はありますでしょうか?これをピックアップする必要があります。何と言っても重要なものが自社株式です。株式会社では、原則的には株式数が多いほど決定権が強いのです。最低過半数、できれば3分の2を超えて後継者に取得させられれば会社の経営は安定するでしょう。その他自社ビルや事業にとって重要な不動産、動産が個人名義の場合にも後継者へ取得させた方が良いと思います。その方法としては、生前贈与と遺言が考えられます。生前贈与は贈与税の負担を考慮して行わなければなりません。また、遺言は経営者にとっては必須の事項に近いと思います。たとえ相続人間にトラブルがなくても特に公正証書遺言は、手続をスムーズに進めるという意味においても強力な効力を発揮します。手続がラクですし日数が短縮されます。金融機関は預金口座名義人の死亡を確認すると口座を凍結して払い出しに応じませんので、それを早く解消するには公正証書遺言が有効です。
次に②後継者以外の親族への配慮です。たとえ遺言を残したとしても、法定相続人には「遺留分」という権利があります。遺言によっても侵害されない相続人の権利で、通常、法定相続分の半分です(法定相続分が4分の1ならば、遺留分は8分の1)。この遺留分に配慮しない生前贈与や遺言はかえってトラブルのもとになります。法定相続人があらかじめ遺留分を主張しないことが確実な場合は別ですが、後継者以外の親族に対しては現金など事業用以外の財産を残すように配慮するべきでしょう。他に財産がなく後継者以外の親族に自社株式を残さざるを得ない場合には、議決権のない種類株式を発行してこの方たちに残すなど工夫が必要です。司法書士、税理士などの専門家に相談するとよいでしょう。
会津嶺平成22年2月号
司法書士 田中裕志
「任意後見制度」は自分の判断応力が低下したときに備えて、前もって財産管理や法律の手続を信頼できる人にお任せできるように準備しておくものです。ポイントは①「前もって」と②「信頼できる人」に任せるということです。①前もって契約しておくことで、自分の考え方、好みに合った生活を送れるように依頼する内容、方針を決めることができます。そして、②自分が信頼できる人と契約することによって、将来その人に面倒がみてもらえるという安心感を得ることができます。「面倒をみる」ことのなかには役所での手続や福祉の契約、金融機関との取引がありますが、この手続が任意後見契約を結んでおくことによってとてもスムーズにいきます。なぜなら、任意後見制度は法律に基づく国が認める制度であり、この契約書は公証人という法律の専門家が作成する信頼性の高いものだからです。ここに任意後見制度を利用する大きなメリットがあります。
サンデー会津2月号
司法書士 田中裕志
今日のご相談者はA男さん。多重債務のご相談で来所されました。内容は消費者金融5社からの借入で、金額は全部で300万円の借入ということでした。消費者金融との借入歴は3年弱といずれもここ数年の借入です。A男さんは、このほかに住宅ローンも抱えていました。ここでA男さんの借金をどういう方法をとって、整理するかを考えるのが私の仕事ですが、肝心なことをA男さんから聞き出すことができません。それは、どういうことなのか?A男さんは、今回の借金はギャンブルが原因で作ってしまった借金のため、妻には内緒にしておりました。家計は妻が握っており、A男さんは小遣いをもらうだけ。借金を整理するには、要するに、家計から一ヶ月いくらなら返済が可能なのか、全く返済はできないのかを聞き出さなければなりません。それには、単にこれくらいなら支払えるという希望を聞き取るのではなく、実際に家計の収支をみて、こちらが支払い可能額を算出するのです。A男さんは妻に家計を任せているため、この収支が全くわかりません。加えてこの借金のことを内緒にしているため、妻に協力を求めることが、A男さんにとってまず第一のハードルになりました。
このようなケースは、実際によくあることなのです。往々にして、妻もしくは夫に内緒にしている借金は深みにはまりやすいのです。最初は一社からの借入でも、内緒にしているため、家計から返済金を捻出することができず、他社から借入をして違うところに返済をしてやり過ごす。この繰り返しこそが債務を増やす図式なのです。しかも、A男さんのケースの場合、借入の年数が短いうえに住宅ローンを抱えていることから、法的整理を取らざるをえない可能性が高いのです。このまま、妻に内緒にしたままでは、近い将来、住宅を失う危険性もゼロではありません。
「妻に内緒」、あなたは大丈夫でしょうか?
ボイス2月号
司法書士 伊 東 孝 一
このところ、相談が増えつつあるのが、アパートもしくは借家を持っているが、家賃の滞納が増えて困るといった大家さんからのご相談です。こういうご相談を受けてから、解決方法として最初に考えられることは、まず内容証明郵便を出して、借主の出方を見ることです。ここで、少しでも払う意志があるようなら、借主から大家さんに連絡があり、滞納分と今後の家賃をどのようにして支払うかの話し合いがもてるようになります。しかし、最近の傾向としては、なかなかそう簡単には行かないケースが多々見られます。そうなると、やはり裁判所を通しての話し合いということになるのです。調停、または訴訟を申し立てて、裁判所に借主にきてもらい、申立人の大家さんと話し合う。しかし、裁判所の力を使っても話し合いの場にすら貸主が現れないという現実。大家さんは途方にくれます。裁判所から支払えという命令をもらっても、そう簡単に解決することは難しいようです。この後、法的には全く取るべき手段がないということではありませんが、大家さんの立場になれば、そこまでしなくとも話し合いのテーブルにさえ着いてくれれば、それなりに穏便に解決したいと望む方が大半を占めるのではないでしょうか?そんな悩む大家さんの姿を多々みる機会があり、家賃さえ、払えないのか払わないのか、とにかくきちんと人間としてのモラルはもって欲しいものだと思ってしまうのです。
クイック平成22年2月号
司法書士 伊 東 孝 一
まず第一歩を踏み出しましょう!
一人で悩んでも解決には至りません。
あなたは、こんな悩みを持っていませんか?私たちはこんな悩みの解決に力になります!
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