司法書士法人つばさ事務所

TSUBASA SHIHOU-SYOSHI  LAWYER

 
コラム

事業承継(公正証書遺言3) 2011/3/08

 

事業承継(公正証書遺言3)

質問

 自営業の友人が公正証書遺言を作成しました。私も作成を検討しています。死亡後の手続きがスピーディーにできるとききました。具体的に教えてください。

回答

ご質問のように自営業者の方にとっては、遺言は必須の検討事項であると思います。以下手続きの流れに即してお話ししていきます。

自営業者(個人経営)の方が亡くなると、原則としてその本人の預貯金の口座は凍結されて出金ができなくなります。そうなると、お金がまわらなくなるので商売に影響がでます。遺言がない場合には、法定相続人(妻や子供など)全員の承諾を得て署名と印鑑証明書を付けて解約や名義替えを行うことができます。しかし、誰の名義にするかなどで相続人間の合意が整わない場合には、手続きができず預金をおろすことができません。

また、公正証書以外の遺言がある場合には、「検認」という手続きを家庭裁判所にしなければなりません。検認手続きとは、その遺言書がそのときに存在するということを裁判所が認める手続きです。遺言の保管者が裁判所に検認の手続きの申し立てをします。その添付する書類に、亡くなった方の除籍謄本や相続人の戸籍謄本などがあり、用意するのに時間がかかります。申し立てをすると、裁判所から各相続人に対して通知があり、1ヶ月程度後の期日に裁判所で検認手続きが行われます。集まった相続人の面前で(封がある場合には)封を開け、内容を確認します。「本当に本人が書いたものか」とか「いつ書かれたものか」などを目で見て確認します。そのようにして検認手続きが終わった後に銀行の名義替え等の手続きに移ります。つまり、本人名義の預貯金をおろすのに1ヶ月以上の期間がかかることを覚悟しなければなりません。

 他方、公正証書遺言の場合には、専門家(公証人)が作成しているので、この検認手続きの必要がありません。本人が亡くなれば、原則として遺言書とその他戸籍等の書類だけで(他の相続人の同意も不要で)、預金をおろすことができます。公正証書遺言のスピードは、他の遺言の手続きに比較すると格段にはやいです。自営業者にとっては、とても重要なことだと思います。